2023.12.25
本記事では、せっかく導入したスポットクーラーやファン付き空調服の効果が薄く、
今後の対策を検討している方に対して、作業現場の改善策をご紹介します。
「スポットクーラーが効かない」「ファン付き空調服を着用しても涼しさを得られない」という時は、
工場全体の温度が高すぎるケースが多いです。
夏場、自分の部屋が暑かったら、すぐにクーラーをつけようと考えますが、
工場のような容積が大きく、さらに熱源もあるような環境では、全体を冷やすことはとても難しいです。
工場の中でスポットクーラーを運転することは、
夏場、屋外に駐車していた車に戻ってきて、クーラーをつけてもなかなか冷えないことと似ています。
工場内や車内に溜まった熱を瞬時に冷やしてくれるほど、クーラーの冷房能力は高くありません。
また、体感温度の観点からすると、
体温(約37℃)以上の風を浴びると、かえって暑く感じてしまうため、
高温の現場でのファン付き空調服の着用は、気分が悪くなることもあり、使用をおすすめできません。
工場内を涼しくすることが難しいならどうしたら良いんだ!というと、熱を逃がせば良いんです。
工場内に溜まった熱を逃がすことで、温度を下げることができます。
その際、温かい空気は上昇する性質をもつことから、工場内の熱気は、必ず建屋の上部に溜まります。
そのため、工場の屋根や、壁のできるだけ高い位置に排気の換気扇をつけると、より効果的な熱排出ができます。
さらに、空気は出すだけではいけません。
空気は排出した分、工場の窓や扉、隙間などから、必ず給気されるので給気についても考えましょう。
排気ファンを設置しているけれども、思ったより暑さが改善されないと感じるときは、
給気の対策を行っていないケースが多いです。
空気の出る量(排気量)と入る量(給気量)は必ず同じになります。これは自然の原理です。
そのため、一生懸命、屋上換気扇で空気を出しても、それに対応する給気量がないと、
給気量に引っ張られて、十分に排気されず、最悪の場合は負荷がかかりすぎて、換気扇の羽根折れや故障の原因に繋がります。
上記のような状況を避けるためには、排気量に見合った給気量を確保することです。
その際に、外からの気流を、作業エリアに流してあげられるような場所に給気ファンの設置位置をもってくることで
気流を感じながら作業ができるので、とても涼しく感じることができます。
さらに、排気量を上回る給気量を確保することで、
室内が外よりも気圧が高くなるので、気流は内→外へと変わり、虫やホコリなど、異物の混入を防ぐこともできます。
このように、排気と給気の換気扇を設置することで、
工場内の温度低下と気流の発生によって、現場は大きく改善できます。
そのうえで、作業場のすぐ近くへのスポットクーラーを設置、ファン付き空調服の着用が
より効果的な暑さ対策となります。ぜひ、現場の換気扇を見直してみてください。